シオマネキが気になる!絵本レビュー『くじらのうた』デイヴィッド・ルーカス なかがわ ちひろ 偕成社 2007年

くじらのうた

『くじらのうた』
デイヴィッド・ルーカス/作
なかがわ ちひろ/訳
偕成社/出版社
2007年/出版年

ほぼネタバレなあらすじ

鯨の恩返しの話。

ある港町が打ち上がった鯨で半壊、少年ジョーは鯨の救済を提案、梟の力を借りて解決策を模索する。

町民と鯨で「あめのうた」を合唱すると、雨が降り水面が上昇。

鯨を海に帰すことに成功するが、今度は港町が水没してしまう。

鯨の機転により、町から水は引いたが、町は全壊していた。

そこで、鯨が海の生き物たちに歌で呼びかけ、海から貝殻や小石や真珠などを提供させ、かつ、それらで町を修繕。

以前より綺麗な町にする。

感想

娘 leafが見たいと持ってきたので、読んでみる。
(決め手は迫力ある表紙のクジラの絵かな。)

鯨の存在感が半端ない

やはり西洋社会では鯨は特別なのか、何となく鯨に対する憧憬が感じる。

とにかく作中の鯨の存在感が半端ない! 全町民を乗せても余りある背や窓から覗いた大きな目玉など大きさはもちろんのこと、浮かれて立ってみたら大波に押し倒されて陸で動けなくなったから切り刻んで食べていいよという陽気で潔すぎる性格にびっくりした。

ファンタジーな胃袋と海の生き物を動員できてしまう鯨の歌声はちょっと予測できたけど、王道でいい。
うん、この鯨さん最高です。

(鯨の歌って物語のための設定かと思っていたけれど、「鯨の歌」というものは実際にあるとのこと。wikipediaによると、コミュニケーションを目的としてクジラが発する一連の音で、特定の種に属するクジラが発する反復的でパターンが予測可能な音を、その発声を鯨学者は人間の歌唱を想起させるため「鯨の歌」というらしい。何だか勉強になった!)

町のBEFORE⇒AFTERが半端ない

思いがけない鯨の襲来(客観的にみてそうだと思う)によって、スクラップアンドビルドされた町は本当に豪華絢爛になった。

建物だけではなく、町の門や階段、道路まで貝殻や小石や真珠が散りばめられ、綺麗を通り越して神々しい。

海から材料を調達してきた海の生き物は勿論のこと、特に建築を一手に担ったシオマネキ(カニ)は本当に良い仕事をした!(これは私の文章では伝えらえないからぜひ絵本を見てほしい)

娘 leafは何度も元の町のページと新しくなった町のページを「これがこうなった」と交互に見て楽しんでいた。

私もついウォーリーを探せの感覚で、相違点を確認したり、作業中のシオマネキを数えたりと楽しんでしまった。

町民が可愛い

町が半壊しても町長以外あまり動じていない町民のおかげで全編楽しく読めた。

大きな鯨が描かれているおかげで小さい町民はちまっとしているのだけど、その絵が可愛い。

どのページの町民も可愛くて好きなのだけど、梟待ちの夜に満天の星空の下思い思いに過ごしているページがお気に入り。

また、絶対高齢者に見れないジョーのおばあちゃんも可愛くて素敵。

一人プリプリ怒ったり凹んだりしている町長も憎めない。魚屋さんのぼやきも活かしている。うん、この絵好きだなあ。
(町民ではなく、海の生き物もとても魅力的に描写されている!鯨の歌声に呼応して貝殻等片手に集まったお魚さんたちのページは圧巻)

梟だったり鯨だったりと知識欲をくすぐらせる絵本だった。

こういう絵本好きだなあ。
ちょっと文章量が多い気がするけれど、読み聞かせは3・4歳ぐらいから大丈夫じゃないかな。

娘 leafの感想

娘 Leaf
このページ(元の町のページ)とこのページ(新しくなった町のページ)が好き。
母 Lily
お母さんも。
お母さんはシオマネキも気になる。